推し、燃ゆ

読書
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こんにちは、まさおです。

「推し、燃ゆ」という小説を読んだ。

人生を推しにかける女子高生あかりの話。

推しというのは推しメンのことでアイドルグループの中で一番応援しているメンバーのことだ。

主人公あかりが推しているのは「まざま座」というアイドルグループの上野真幸。

しかし推しの所属するグループが解散し、推しはアイドルもやめてしまう。

グループの解散の原因(遠因)は推しがファンを殴ったこと。

推しが表舞台から去ったことであかりは魂の死とでも呼べるような状態になる。

主人公の女子高生あかりは発達障害があるようで勉強もバイトもうまくいかない(発達障害とは直接書いてないが。病院にかかっていることは書いてある)。

あかりの生きがいは推しを解釈することだ。推しの全ての活動(過去の活動も網羅)をリサーチし、ファイルにまとる。コンサートにも当然行く。推しのグッズにもバイトで稼いだ金を惜しげもなく投入する。

でも推しと仲良くなりたいわけでもないし、ましてや付き合いたいわけでもない。

あくまでも一ファンとアイドルであるという関係があかりにとってはベストだ。

あかりは猛烈に推しのことが好きなのだが恋愛の対象ではない。

推しと一体化したかったのだろう。それは例えば次のような感じなのかもしれない。

あかりが鏡を見るとそこに推しが映っていて推しが笑えばあかりも同じように笑おうとし、推しが脇の下から冷や汗を流せばあかりも同じように冷や汗を流そうとする。

推しを解釈することはあかりがあかりであるためのつっかえ棒のようなものなのではと思った。

また、同化、一体化の方向とは別に「対する方向」も存在する。

対する方向とは自分と推しという対象を別のものとして意識したときの方向。

推しに対してのあかりは、年上の推しがかわいくて仕方がない。

ここでの「かわいい」は子犬を守る母犬のような感情らしい。母性本能のようだがそういってしまうと推しに対するあかりの感情を軽いものにしてしまうような気がする。

推しに対する全面的な「かわいい」という強烈な思いと推しと一体化しようとすることであかりはままならない日常をなんとかやり過ごしている。

このあかりの行動を(推しを解釈しようとする行動)現実逃避というにはあまりに切ないと思った。

学校ではまわりにうまく溶け込めず保健室の常連だし、バイト(定食屋)でもやることが多すぎて混乱してミスばかりしてしまう。

それでも1時間働けば推しのグッズが買えるとか2時間働けばcdを1枚変えるとか思いながら必死でバイトする。

けなげだと思った。

でも冒頭に書いたように推しはアイドル活動を引退してしまう。抜け殻のようになったあかりであるが、そこで小説は終わる。

あかりのその後が気になる。 

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