ドクトルマンボウ青春期の思い出

読書
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こんにちは。まさおです。この記事では、高校生の時に読んだ「ドクトルマンボウ青春期」の内容を思い出すままに書いてみました。懐かしいです。

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松高での生活に憧れた

高校生の時に読んだ本で面白かったのが「ドクトルマンボウ青春期」。この本は作家北杜夫さんの若いころ(10代後半から30代くらいまで)の自伝。

私はあまり面白いと思えない高校生活を送っていた。そんな日常の中で、青春期の世界は自分にとって現実逃避であり、ひとときの安らぎであり、極上のエンタテイメントでもあった。何回か読み返したような気がする。

自分が特に印象に残っているのは松高時代(旧制松本高等学校)の話。自分も高校生だったので、北さんが高校生だったときの話は至極身近で親近感を持って読んだ。

自分も松高を舞台とする瘋癲と韜晦、疾風怒濤の世界で高校生活を送りたいなどと思っていた。懐かしいなあ。

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本の内容を思い出して書いてみる

覚えているエピソードをいくつか書き出してみた。

カルチャーショックを受ける

青春期はこんな感じで始まる。

北さんが松本へ引っ越すところから始まる。
東京に住んでいた北さんは松高に合格したので松本に引っ越す。

小学生時代に長期間入院した北さん。入院中に読んでいたのは昆虫に関する本で、それがきっかけとなって昆虫採集をするようになる。

自然豊かな松本でも北さんは趣味の昆虫採集を続ける。松本へ引っ越して来てから初めての昆虫採集に行ったとき、読書をしている学生を見つける。

その学生は松高生の先輩のようだった。彼は木の根元に座って本を読んでいた。北さんは気づかれないように忍び寄り、何を読んでいるのか確かめる。

難しそうな哲学の本だった。

昆虫関係の本しか読んだことがなかった北さんは高校生(旧制)が自分の全く知らない難しい世界に生きていることを知りカルチャーショックを受ける。これが高校生なんだと。

それを機に北さんも難しい本を読むようになっていく。

寮雨

松高に入学すると北さんは寮に入った。たしか思誠寮。
入寮している学生の権限がある程度認められた、自治をモットーとする寮だった。

こう書くともっともらしいが、実体は学生がやりたいようにやっていたということ。

例えば次のような話が書いてあった。

便所が本棟から離れた場所にあり、夜中に小便に行くのが面倒くさい。

彼らは便所まで行かず、本棟の縁側へ出るとそこで立小便をした。それで建物の土台が腐り本棟は傾いていた。

その行為を彼らは「寮雨」と称した。これだけ聞くと五月雨みたいで、きれいな表現なのだが、実体は不潔この上ない。

説教ストーム

入寮した新入生は説教ストームと呼ばれるものを見舞われた。これは一種の通過儀礼。

新入生が夜中寝ていると、先輩にいきなりたたき起こされる。寝ぼけ眼の新入生は何が何だかわからない。

先輩は松高に進学した目的、旧制高校生の目指すべき姿、社会の問題などいろいろな質問をぶつけてくる。

新入生がどう答えても「バカ野郎」の一言と否定しか返ってこない。

いきなり起こされて新入生はぼーっとしているし、先輩は難解な哲学書を多数読んでいるのでどう転んでも新入生は先輩に言い負かされてしまう。

この体験によって新入生は「旧制高校生はずいぶん頭がいい。すごい」との考えをもつようになる。

テストの出題箇所を聞き出す

寮生たちはテストの前になると若手教師を寮に呼び寄せた。ストーブの前の一番暖かい場所に教師を座らせ、サツマイモの尻尾をご馳走した(戦時中であり食料が著しく不足していた)。

一人の寮生が教科書を開く。パラパラとページをめくり、教師に向かって「この辺が出そうですよね?」と教科書を見せ、テストの出題範囲を聞き出そうとする。

教師は接待を受けたことへの返礼として出題範囲を教えたいのだが、一方で教師としての倫理観がそれにブレーキを掛け、両者の板挟みとなって苦悶する。

教師は、その妥協策としてはっきりと「ここが出る」とは言わないが、「なんとなくこの辺が怪しいような気がする。」などとかなりあいまいを装って、寮生に出題範囲を教える。

「私は出るところを教えていませんからね」などと念を押すことも忘れない。

おおらか、野蛮だけど融通が利く時代の空気に存分に浸れる本

ほんのちょっと、思い出したことを書いてみた。懐かしい。

ぎすぎすした生活に疲れている方におすすめの本です。いい意味でいい加減、おおらか、野蛮だけど融通が利く旧制高校の空気に存分に浸れます。



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