春の甘い匂いが思い出させる

日記
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こんにちは。まさおです。今日は本当に暖かいですね。



春になると空気に甘い匂いが混じってくる。それは桜の花や、様々な花の匂いだ。

この甘い匂いを嗅ぐといつも思い出すことがある。

それは高校生の頃のぼーっとしていたある日のこと。



高校2年の4月のある日のことだと思う。

その日の朝も最寄り駅からいつもの電車に乗り込んだ。

自分が利用していたのはローカル線で、乗客はほぼ全部、通学する高校生。

電車で通学するのは好きでなかったし、1年生の時から学校が面白くなくなっていた。

その日もいつもと同じように、電車が駅に停車するたびに、高校生の群れが乗車してきた。

やがて、電車は自分の通う高校の最寄り駅、いつも降りる駅に到着した。

しかし、その日の朝私は、座席に座ったまま、自分と同じ制服を着た高校生が電車を降りるのを少しぼーっとした目で眺めていた。

自分もその駅で降りて高校へ歩いていかなくてはいけなかったが、そうしなかった。

学校へ行くのが面倒くさいとも思わなかった。何の感情もないままに高校生の群れが改札へと歩いていく姿を眺めていた。

電車の自動ドアが閉まった。意識の片隅で「今日はこれで遅刻だな」と思った。それだけだった。

自分の通う高校の生徒が降車したので車内は幾分すっきりした感じになったが、まだ通学の高校生でいっぱいだった。

2つ先の駅で電車が停止すると半分以上の高校生が降車した。そこは2つの高校の最寄り駅になっていた。

ガラガラになってようやく気持ちが少し落ち着いた。

私は電車で自分が通う高校の最寄り駅より向こうに行ったことがなかった。

普段見たことのない車窓からの風景を珍しそうに眺めた。遠くに田んぼや果樹園が広がっているのどかな風景だった。

いくつかの駅を過ぎて、ある駅に到着すると残りの高校生が全員降車した。

その駅は自分の通学区の端っこの高校の最寄り駅だった。

私は乗客が全くいなくなった車内を眺めていた。

車内の高い位置にはそのローカル線の路線図が掲示されていた。いつも見慣れているそれではあったがすごく新鮮に感じた。

電車を降りることは全く考えずにそのまま座席に座っていた。

車窓からの風景を眺めるともなしに眺めていると電車は動き出した。

幾つかの駅を過ぎると、ちらほらと高校生たちが電車に乗り込んでくるようになった。見慣れない制服ばかりだった。

駅で停車するたびに高校生たちが乗り込んできた。そのうちに満員になっていた。

ある駅で停車すると高校生の半分くらいが降車した。

次の駅で残りの高校生が降車し、車内はまたガラガラになった。

いい加減に電車を降りないとまずいなと思い始めた私は3つ先の駅で降車した。


春の花の匂いを嗅ぐとこの時の記憶がよみがえる。

おわり

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